【口だけだったな】
――なにやってるんだろう、わたし。
決めたじゃないか。
どんなことにも耐えるって。
「石の上にも三年……っ」
立ち上がると、急いで厨房に向かう。
「遅い」
「……すみません!」
「朝と同じ要領で、次の仕込みを始める」
サトルさんは言った。
天候など様々な要因によりお客さんの数が大きく左右すると。
どのパンをいくつ店に並べるかについては、最初はスミレさんからの指示通りやっていたが、今は任せられているという。
さっき焼けたパンを並べていたとき
お客さんが手にとっている様子をみて、それが自分の作ったものならどれだけ嬉しいだろうと思わずにはいられなかった。
いつか、わたしも、素敵なパン職人さんに――。
「作りたいか」
「え……」
「マヌケな顔すんな。返事は?」
「作りたいです!」
「来い」
なんと
この日わたしは、サトルさんに
パン作りを手伝わせてもらうことができたのだった。
そして――。
仕事が終わって愁さんのうちに帰ってから
人生で初めて作ったパンの、試食会をすることになったのです。


