だから――。 「お待たせ」 ひとりの女の子を、 知り合いのフリして助けたついでに 幻のところに連れて行ったのも。 やっぱりいつもの思いつきでしかなくて。 たいしたアクションじゃなくて。 それが、爆弾投下になるとは思わなくて――。 「……幻?」 別人みたいな幻の顔が見れることになるとは 考えもしなかったんだけどさあ。 今思えば、あの瞬間には、 幻はネジが外れちゃってたんだよね。 《Side.成田燐》