「驚いた。まさか、あなたが女の子連れてくるなんてね。それも燐ちゃんを介して」
幻さんとは、顔見知りのようだ。
「俺のだからって甘えさせなくていいので」
スミレさんの前で“俺の”って言った……!!
「ふふ。そのつもりよ」
「一生懸命やるとは思いますが社会経験もろくになければ、世間のこともまだまだ知らねえようなやつです。万一迷惑かけるようなことがあれば、そのときは俺が責任とります」
(幻さん……)
「やーね。最初から使えるなんて思ってないわ」
幻さんは、わたしのことを信じてくれてる。
その信用を絶対に裏切りたくない。
「ビシバシ鍛えるからそのつもりでね?」
「はい……!」
覚悟はできている。
働く厳しさを舐めてはいない。
はやく、一人前に、なりたい。


