「呼ばなくて大丈夫です……!」
「そうですか?」
「あの。あまり派手な色じゃなくて。でも、女の子らしい感じのデザインので。……高くないやつってありますか」
「プチプラですねー。ありますあります。任せてくださいっ!」
気さくなお姉さんのおかげで初めての下着選びも順調に進み、選んだ数セットを包装してもらう。
包装が終わったちょうどそのとき、幻さんが戻ってきた。
「決めたか?」
「は、はい!」
わたしの返事をきくと、財布を取り出す。
あああ、
またお金出させて、ほんとすみません……。
帰りたくないと言ったのは、わたしだ。
だけどそれって、こうして誰かのお世話になって生きるということ……なんだよね。
無計画にも程があった。
なのにこうして、浮かれてしまいそうなくらい(いや、正直かなり浮かれている)楽しいことだらけで。
……今以上の幸せはいらないから。
どうかここでの暮らしが続きますようにと、願わずにはいられなかった。


