――あれ。


手が動かない。


身体も、なんだか重い。


まさか。


(これは、金縛り……!?)


「……っ!!」


パチリと瞼をあけると、総長さんがいた。


(……総長さん……えぇ!?)


わたしの顔を間近から覗き込んでいる。


腕が動かないのは手首を抑えられていたせい。

身体が重いのは――伸し掛かられているから。


「総長さっ……! ん、」


大きな手で口を塞がれる。


「でけえ声出すな。あっちで愁が勉強してる」


こくこく、と頭を縦に振ると手がどけられた。


総長さんが驚かさなきゃ大きな声も出してませんでしたよ?


「いま、なんじ――」


壁の掛け時計を見ると、17時すぎだった。


あれ? あれえ!?

お洗濯を浴室に干して、ご飯の下ごしらえして

一息ついたあと……


――眠っちゃったの!?


(いくらなんでも寝すぎだ……!)


「洗濯、」

「来たときにはたたんであった。愁がやったのだろう」


家のことやるつもりが、やらせてしまった。


「ハッ……お買い物!」


これから総長さんとお買い物ですよね!


「夕烏のこと考えてた」


――え?