…今私、なんて言おうとした?




違うよ…だってそんなの…。




私はずっと、颯太を待つって決めたのに…。




“大事な人”なんて言ったら、好き、みたいじゃん…。





「莉緒はさ、もしかして奏多のこと好きになっちゃった?」





冷蔵庫の横にある小さなテーブルの上にペットボトルを置く音が聞こえる。





私は、湊音から目を離すことができなかった。





「そ、そんなこと…」




「だって莉緒、颯太といるときと一緒だもん。




その柔らかい表情とか」





そう言って私のほっぺをつまむ湊音。





「近くなると顔が赤くなっちゃうあたり」




「そんなのっ、恥ずかしいだけに決まってるでしょ…っ」





私が湊音にそう言うと、湊音はこちらに向かって歩いてくる。




少し怖くなって後ずさったけど、後ろは壁。




すぐに湊音に詰め寄られて、湊音の手は私の顔のすぐ横の壁に置かれた。