お嬢様は恋をしません。

あの時雨が、彼女かぁ…。



今まで告白してきた女の子を全員フってた時雨が…。



1個上の先輩でさえも泣かしたっていうあの時雨が…。




「不思議なこともあるな…」



「…なんだよ。そんなに意外か?」



「時雨が好きなのは、女の子の涙だけかと…」



「…お前、俺のことそんなふうに思ってたの?」



「…ちょっとだけ」




時雨は俺の頭をペシッと叩いた。




「…別に、俺にコクってきた奴らが好みじゃなかっただけ」




時雨は拗ねたようにそういう。



こういう態度は女の子にしてあげたほうが需要あると思うな…。




「で?その…水野?タイプだったわけだ」



「…まぁ」




時雨はポツリと呟いた。




「時雨くん」




すると、教室の入り口から透き通った声が聞こえた。




「…あ、夏織」




噂の彼女だ。



あ、モテそう。



雰囲気がモテそう。