「奏多は?」



「え?俺?」



「うん。奏多」



「別に何もないよ?家帰ったら寝るくらい」




突然、いい顔の莉緒に話しかけられると、少しどもる。



いつもと雰囲気が違って、可愛いから。



まぁ、ほんとの莉緒を見ちゃうとやっぱ表の顔は作り物だなって思っちゃうけどね。




そんな会話をしながら歩いていると、駅に着いた。




普段から電車通学だから、満員電車は慣れっこなんだけど…。



莉緒はどうすればいいんだ…?




「奏多ー、莉緒は俺がいつも通り扱うから、適当に乗ってていいよー」



「あぁ、ありがとう」





湊音はそういうと、ホームに着いた電車に莉緒と乗り込んだ。



後ろを追うと、莉緒は反対側のドアにもたれて、湊音はその前に立った。



あぁ、漫画でよくあるやつだ。



ドアに手をついて壁ドン的なあれだ。



俺は身長低いからできないやつだ。