奏多は不安そうにそう言った。




「そんなの…」




「颯太くんが帰ってくるまで、莉緒のこと守りたい」






真剣に、そう言う奏多に向かって首を振れるはずもなかった。






「…わかった」




「ふふっ、ありがと。部屋、戻ろっか」








修学旅行から帰った私たちは夏休み前の生活に戻った。




家には奏多の部屋が戻ってきた。




学校の登下校は奏多と一緒だし、たまに遊びに連れて行ってくれるのも奏多になった。





そんな生活に、どこか安堵してしまっているのを、私は気づいてしまった。