「叶花ちゃん、一応病院に連れて行きますね。それで、蓮なんですけど……」
「お願いします。蓮くんは、任せてください」
「すみません、お願いします!」
母さんの慌てた声と、離れていく足音がした。
あんなに慌てるくらい、あいつが倒れたら危険なのか?
……気になったとして、どんな病気か聞いてもわからないが。
「さ、俺たちも病院に行こう」
「え……俺も?」
俺、留守番できる。
それに母さんからすれば邪魔なんだ。
だから、大人しく家にいようと思ったけど……
「浅賀さんがお願いしてきただろ?」
それって、ちゃんと家に送ってくれって意味じゃないのか?
……いや、一人で歩き回ること、バレたもんな。
だから、見張っててくれと。
「それに、男同士の話があるんだ」
その人はそう言って、優しく笑った。