音もなく踊る彼女の額には、季節らしからぬ汗が滲んでいた。
今はもう、秋も過ぎて…そろそろ本格的に冬支度をしなければならない時期なのに…。
彼女は、いつから此処でそうしていたのか、頬を紅潮させながら、一心不乱に踊っていた。
とても静かに…。
とても凛々しく。
「ずっと此処にいたの?」
「えぇ、勿論」
「知らなかったな…」
「きっと見過ごしていただけよ」
尚も彼女は踊ることを止めない。
ボクも、そこを去る理由がなかったから…暫く彼女の傍にいようと思い、近くの石に腰を掛けた。
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