【短】水に挿した花

暫くそうした後…。
風を取り込む為に、そっと両手で窓の扉を開く。


すると、冷たい空気が部屋いっぱいに広がり、ハラハラと白い花の花弁が舞って行った…。

まるで、彼女が踊っているかのように…。


熱く、儚く…。


この目に焼き付いた、天使。


それはとてもとても…。


清らかな熱を孕んで、気高かった…。



彼女の誘いに乗らなければ、良かったのだろうか。

そうしたら、こんな風な別れ方をせずに済んだのだろうか…?


ボクは、海と空の間に視線を投げてから…。


どうか、幸せに…。


と、心で願った。



永遠の世界で、どうか二人が結ばれ、幸せになることを…。


心から祈ることで、ボクの使命は終わったんだ…。


人を愛する事、人を信じる事。

慈しみ、この両手で守り抜く事…。


彼女との出逢いで、ボクの世界は…。


これから、変わっていくのかもしれない。


そう、願わずにはいられなかった……。


Fin.