【短】水に挿した花

……だから、ボクは…。


よろよろと窓辺に向かってから、意を決して…右手に持った、白い花を…そこにあった花瓶へと挿した。


しおれた花は水を得て、瑞々しい姿を取り戻す。


ボクは、ひゅっと息を飲んで、そこから眼下に広がる海を見つめた。


でも、そこには誰もいなかった。


そう、誰も…。