空は何処までも高かった。
肌に触れる風まで冷やしていくかのように、雲一つなく寒々しい…そんな空だった。
すぅっと、その冷たい空気を飲み込んで、ボクはまた歩を進める。
一歩、一歩…そう進める度に、重くのし掛かる、罪悪感。
本当は、もう、ボクには真実が分かってしまっている。
だけど、彼女をあのまま絶望させる訳にはいかない、そう思ったんだ。
何故か…。
だって、あの部屋には、もう…誰もいないのだから。
父親との別れの随分前に、密かに…一人きりで永遠の眠りを手にした彼を、知っていたのだから…。
重い、重い、足取り。
それでも、行かなければ。
彼女との約束を果たさなければ。



