あの日、彼女と交わした会話は大体こんなものだったと思う。






でも、あのあと彼女がいった言葉は、今でもはっきり覚えている。







「私は、なにかをじっと見て、絵を描くのも、青空の下で汗を流すのも、両方好きだな」








僕に背を向けて窓枠に手を置いて彼女は言う。










ずっと。





ずっと、走れなくなったから、陸上部をやめてしまったんだと、思っていた。






だって彼女も、僕と同じ中学に通っていたから。




中学の頃は、彼女は陸上部で短距離走を走っていた。




だから、彼女は、僕と同じようにいじめられていた。




僕は同じ境遇の人だと思って、彼女を遠くから、見ていたことがあった。




彼女は3年間、陸上部で活躍し続けていた。




でも、高校に入ってから、美術部に入部したようだった。




トラウマに、なってしまったんだと思っていた。





ずっと。