素直に嬉しかった。



先輩もいい人だったから、すごいと、褒めてくれた。



だけど、夏休みが明けて、僕の作品が最優秀賞を獲得したと、それはもう一瞬で、瞬く間に広がった。



僕は当たり前のようにいじめられた。



「男じゃない」だの、「気持ち悪い」だの、「女々しい」だの、散々言われた。



筆を折られたこともあった。



頭から水をかけられたこともあった。



描きかけの作品に真っ黒な絵の具を落とされたこともあった。



中学生なんて、まだまだ子どもで、幼稚なことを当たり前のようにする。






僕は絵を描かなくなってしまった。





キャンパスを目の前にすると頭が真っ白になって、



それでも絵を描こうと筆を持つと手が震えてしまう。




僕は絵が描けなくなった。




トラウマ。




僕にはそれだけが残って、高校に入っても美術を選択できず、



音楽を取った。