僕が通っていた中学では、男と女の区別が極端だった。




スクールカーストの上位にいたのは、『男の子らしい男の子』や『女の子らしい女の子』。




そこで言う『男の子らしい』というのは明るくて元気なスポーツが万能な子。




『女の子らしい』というのは清楚で知的、頭が良くて特に芸術にセンスを見出す子だった。




そこから逸脱する者は目をつけられてスクールカースト上位の者に陥れられる、いわばいじめられていた。




僕もその1人だった。




生まれつき、体があまり強くなくて、小さい頃から木の下で絵を描いたり、中庭で楽器を演奏するのが好きだった。



特に絵は、自分でも驚くほどの才能を見出したと、自負していた。



中学に入学して、大好きな絵を描きたいと思って美術部に入った。



何年も油絵を描き続けていた3年生の先輩を差し置いて、



たった3ヶ月、小さな作品を1枚描いて、油絵で描く2枚目が夏のコンクールで最優秀賞をとった。