目の前に広がる雄大な景色に、わたしは両の手を広げた。


 胸いっぱいに風を吸い込むと、弾けるように吐き出しながら叫んだ。





 「ああ、未来(ミク)に幸あれ!」





 トルコ石のような昼下がりの空に、夏の豊満な匂いを乗せた風が吹き抜ける。

 それらに煽られた草花は、強く照り付ける太陽の光でどこまでも青く燃えていた。


【完】