傷だらけの君は



あたしは土方さんの言い付けどおり、外に出ることはなかった。


特段外に出る理由もないし、出たいとも思わなかったから。


新選組での生活は驚くほどに順調で、本当にあたしなんかがこんな生活を送ってもいいのかと恐縮してしまうほど。


近藤さんの言う通り、あきらかに生活の質が上がった。




「これは……恐らく炎症を起こしてますね。大丈夫ですか?」


「痛いです……」


隊士さんの腕には擦過傷があり、そこが少し膿んでいた。


これはどうしよう。どっちだろう。



「あの、紅さん……?」


自分で治してもらうべきか、あたしが治すべきか。


そこの判断基準があたしにはまだ難しかった。




「それぐらい自分で治しや!そんなんじゃ新選組の名が廃るで」


あごに手を当てひたすら考えていると、後ろから陽気な声がかかった。



「山崎さん」


山崎さんはあたしににこりと笑いかけたあと、再び隊士さんに向き直る。



「何事も紅頼りじゃあかんよ」


「は、はい!」


隊士さんは「すみませんでした!」と頭を下げてあたしが出した塗り薬を手に去っていった。