向かったのは、屯所内にある井戸。
桶で水を汲み土方さんの指の血を流す。
傷口にしみないように、そうっと。
あとは懐から出した塗り薬を塗って......
「傷は浅かったので、すぐに良くなると思います。お大事に」
反応がなかったので見上げると、土方さんは目を少しだけ開いていた。
......痛かったのかな?
「紙ってかなり痛いですもんね。あたしもよく切っちゃうので、分かります」
「......お前、今何した?」
「治療を......あ、すみません。こっちで良かったですか?」
こっちというのはあたしの能力のこと。
この前土方さんに"こんな切り傷まで治してるのか"って言われたから、何でもかんでも能力に頼るのはやめようって思ったんだ。
手を掲げたあたしを土方さんが静かに見つめる。
「もう簡単な怪我には使わないようにしたんです。でも能力のほうがいいと仰るのなら......」
「いや、いい。これでいい」
土方さんがあたしの手に触れて、下ろさせた。
茜色の瞳に見つめられてまるで金縛りにあったように、目が離せなくなる。



