「......早いな」
「おはようございます。土方さん」
早朝。まだスズメも鳴いていない頃。
朝餉の準備をするために厨(くりや)へ向かっていると、頭をかいている土方さんに出会った。
その顔が険しいのは、おそらく寝起きだから。
それか、
「ごめんなさい。朝っぱらから姿を見せてしまって」
あたしが原因かもしれない。
「そうだな。もう一度寝直すつもりだよ」
「あとで起こしに伺いますね」
「冗談だ。......それにお前は女中ではあるが、俺の小姓ではない」
わざわざ起こしに来なくていい。
と大きなあくびをする土方さんはきっとまだ寝足りてなくて。
あたしもつられてあくびが出そうになったけど、必死に我慢した。
なんでこんな朝早くに起きているんだろう。



