「父様っ!」
走りながらもう一度叫ぶと、道を歩いていた父様が振り返った。
そして驚いたような顔をする。
「父様、あたしです。紅です!」
やっと追いついたあたしは、肩で息をしながら父様に手を伸ばした。
もしかしたら、また、一緒に暮らそうって言ってくれるかも......
「触るな」
そんな期待はきっと、抱くべきじゃなかった。
「父様......?」
じんと熱を帯びる手を押さえながら、父様を見上げた。
まるで汚いものを見るような、冷たい目があたしの姿を捕らえる。
あたしの手を振り払った父様は面倒くさそうに口を開いた。
「俺はお前の父親ではない」
......え?何を言っているの?
「あたしを売ったからですか?だからもう親子じゃないってこ......」



