さらに歩いて、たどり着いたのは今にも崩れ落ちそうな長屋だった。 父様と住んでいた家によく似ているな、なんて呑気に見上げていた。 そういえば父様の家もこの辺だったかも。 父様元気にしてるかな。 そんなとき玄関がガタンと音を立てて開いて、 「こいつか、噂の化け物は」 「まさか本当にあの新選組から盗んでくるとは」 中からは男と同じような身なりをした人たちがたくさん出てきた。 その瞬間、あたしは自分が置かれている状況をようやく理解した。 これが、拉致だということを。