沖田さんは何も答えないあたしを一瞥して、すっと立ち上がった。
「それじゃあ、そろそろ部屋に戻るから。君も早く寝なよ」
「待ってください」
「なに?」
「もう一つ、分からないことがあるんです」
眼帯が付いていない方の目で、彼の姿を追いかけた。
「なぜ沖田さんは、あたしを使わないんですか?」
「……そういうところだよ」
苦虫を噛み潰したような、そんな顔をされる。
今日初めて嫌悪感をあらわにした彼は、そのまま立ち去っていった。
そんな言葉と、羽織を残して。
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