「法度に背くつもりか?」 「はい?」 法度って、何のだろう。 意味がわからなくて掴まれた腕と土方さんを交互に見つめる。 「局中法度第二、局を脱するを許さず」 「はぁ……」 局中法度……ということは、この新選組内で禁じられていることだろうか。 それならその法度は、隊士でもなんでもないあたしは当てはまらない。 だから次の言葉はまったくの想定外で、それを聞いた瞬間、あたしの世界からすっと音が消えた。 「お前は買い取った」