傷だらけの君は



「熱が下がったとはいえ、まだ大人しくしとったほうがええよ。わかった?」


「でもはやく帰らないと次の仕事が」


「わかった?」


「……わかりました」



その言葉を聞いて安心したように、二度三度頷いた山崎さんは立ち上がった。



「沖田くん、ちゃんと見といてな」


「はいはい」


「じゃあわいはこれで。お大事に」


いつもはあたしが言う側のその言葉を残して山崎さんは去っていった。


部屋に取り残されたのは沖田さんと、布団に寝ているあたしの二人。



「腕はもう大丈夫?」


「完治してます」


「そう。ごめんね」


その言葉に身体がぴくりと反応する。


まただ。また、謝ってくれた。



「謝らないでください。あなたも、ほかの人たちも。なんでそんなに謝るんですか?あたし、謝られるようなことは何もされていません」


「いいや、したんだよ。僕らは君を傷つけた」



分からない。


あたしを傷つけた?いつ?

この人たちに傷つけられた覚えはない。


あたしは自分で、自分に傷をつけているだけ。


何も謝ることはないのに。


なんでここの人はこんなにも、悲しそうな目であたしを見るのだろう。