傷だらけの君は







夢を見た。


あたしの腕や足が、ばらばらになる夢。


不思議と痛みは感じなかった。


両手両足がなくなっても、夢の中のあたしは生きていた。


ぼうっとしながら、ちぎれたそれを見ていて。


血がとめどなく流れているのに、骨が見えているのに。


ただ、欠損は治せないはずなのになんでだろう、これじゃ仕事ができないって。




あたしも周りに立っている人たちも表情を変えなかった。



こんな身体じゃ、父様にお金を渡せない。

呆れられる、怒られる。



そのときあたしはあることに気付いた。



……あれ、父様は?


どこを見渡しても父様の姿はなくて、ただただ仮面のような顔が果てしなく続いていた。



父様、どこ?




そんな、夢を見た。