傷だらけの君は



ともあれこの土方って人以外は、あたしが傷を『治す』と思っていたらしい。


いや、ちゃんと説明しないあたしも悪いんだけどね。


だけど説明したところでって思う。


誰が用済みのあたしに気を遣うのだろう。


今まで治療してきた人は全員、怪我が治ったら何事もなかったようにあたしを冷たい目で見た。


化け物だって。はやく消えろって。



だけどここの人たちは違った。


近藤さんの他にも、高熱だった人や他の隊士もお見舞いに来てくれた。


熱で受け答えもまともにできないあたしに、丁寧に言葉をつむいで謝罪をしてくれた。


『なんで謝るんですか?』


そう聞いたあたしに、一人がこう答えてくれた。



『君を傷つけてしまったから』


傷つけた?

あなたは何もしてないのに。


理解できないあたしに、またその隊士は頭を下げた。


謝る必要はない。

だってこれがあたしの仕事なんだから。