傷だらけの君は



「そして、私は紅を……」


「てめぇ、自分のしたことが分かってんのか」



言い終わる前に、土方さんがお母さんの胸ぐらを掴む。


その顔は見たこともないくらい、歪んでいて。


近藤さんも、山崎さんも、藤堂さんも……みんな、それを咎めることはしなかった。


みんな黙って、畳を見つめている。



「土方さ……」


「紅」



どうして止めるの?


立ち上がろうとした手を沖田さんは離してくれなかった。


強い力で引き戻されて、あたしは土方さんとお母さんの姿をただ見つめることしかできない。



あの土方さんがあんなに怒っているんだ、きっとあたしでも怯んでしまうほどなのに。


いつなにをされてもおかしくない、そんな状況であってもお母さんはただ前を向いていた。



「そして私は、紅を捨てました」


「……なぜだ。こいつを捨てた理由はなんだ」



「……怖かったから」


絞り出すような、か細い声で続ける。



「あの人が変わっていくのも、紅が殴られるのを見るのも……」


そこでお母さんははじめて言葉につまった。





「っ、紅のことを、どんどん……嫌いになっていく自分も……っ」