傷だらけの君は



部屋にいる、全員分の視線が一点に注がれていた。


その中心にいるのはあたしと、




瑠璃(るり)と申します」


そういって深々と頭を下げたのはお母さん……さっきの女の人で。



町でたまたま出会った沖田さんはあたしたちのことに深く追求することはなかった。


ただあたしの腕を見て、ひと言、
「はやく屯所に帰ろう」と手を繋いでくれる。


もう片方の手にあるのが三色団子だと知ったとき、なんだか腑に落ちたような気がした。


そういえば、そうだったなって。




『貴女も、よろしければご同行願えますか?』


何も言えないあたし、立ち尽くしている女の人に声をかけてくれたのも


やっぱり、沖田さんだった。