「誰が上げていいって言った?」


持ち上げかけた頭を、すかさず大きな手で止められる。

こころなしか力が込められているような、



「てめえはいつから俺の命令を無視できるほど偉くなった?いや、いい。答えなくていい。黙って聞いてろ。分かりきってることだもんなぁ?なんで俺が来るなって言ったか、今のお前なら分かるよな、なあ答えろよ」

「それは」

「黙って聞いてろっつってんだろ。その耳はお飾りか?あ?だいだいてめえはなあ……」


そのあともしばらくお説教が続いていたけど、ふと土方さんの言葉が途切れたから恐る恐る顔を上げる。

すでに怒る気は失せたのか、さっきまでしわの寄っていた眉間を指で押さえていた。



「はあ……もう怪我は治ったのかよ」

突然心配されたものだから、あたしもすぐに反応することができなかった。