永倉さんの部屋に着くと、もうすでに山崎くんと例の女子が座っていた。


こちらに背を向けているので顔は見えないが、その身体はえらく華奢だった。



「やぁ、よく来てくれたね。紅さん」


近藤さんは永倉さんの前に座る女子に優しく声をかける。


紅、と呼ばれた女子の黒髪がぴくりと揺れた。



「こちらこそ、ご依頼いただきありがとうございます」


「……あ」



振り返ったその女子には、見覚えがあった。


整った顔立ちをしていたしあんな出会いだったから、嫌でも頭の隅に残っていた。


この子……足が折れてた子だ。