「災難だったな」


「本当ですよ、もう」


僕は目の前の上役……土方さんにそう返した。


その災難というのは、この腕のこと。


包帯でぐるぐるに巻かれたそれは、監察方の山崎くんによる応急処置だ。



「雪で転んだなんて知られた日にゃ、男の恥だな」


「今ので全員に知られましたがね」


けらけらと意地悪く笑う土方さんに、嫌味を込めてにっこりと笑みを返した。


土方さんの隣では、ここ新選組の局長である近藤さんが慌てていて。



「総司まで!大丈夫か!?あああ……」


「総司もそんなヘマすることあるんだねー」


「つか雪、まだ残ってたんだな」


わいわいと騒がしい広間は、僕が怪我をしたというのに誰一人として焦っていなかった。


いや、近藤さんはすごく心配してくれているが。