「……期待に添えられるような活躍は出来ないかもしれないけど、緒方さんや成瀬さんの気持ちを無駄にしないように頑張るよ」
「……!
ありがとう佐賀くん!」
「……こちらこそ、本当にありがとう、成瀬さん」
佐賀くんの表情は晴れていた。
そんな佐賀くんを見て、なんだか泣きそうになる。
……私は全然佐賀くんのこと知らなかった。
綺麗だっていう印象が強かったけど、
本当はとても繊細で責任感が強い。
佐賀くんはもっと自信持っていい。
皆の気持ちを考えられる、とても優しい人なんだ。
「でも優勝は無理だろうね」
「……え?なんで?」
「1組は羽水くんが出るんでしょ?昨年優勝した先輩も出るらしいし……」
……そうだ、藍くんも出るんだ。
た、確かに強敵揃いだね。
「優勝出来なくても、出れるだけですごいよ!」
「成瀬さんは出ないの?」
「……え、私?私が出れるわけないよ!」
「……なんで。成瀬さんも可愛いと思うけど……」
「そそそんなことないよ!でもありがとう、気持ちは嬉しい!」
さ、準備再開!と私は慌てて看板を塗り始めた。
佐賀くんはそれから何も言わず、私に続いて作業に戻ったので私は少しだけほっとする。
まあ、佐賀くんがやる気になってくれて良かった。
楽しい文化祭になればいいなぁ。

