「……成瀬さんは悪くないよ。悪いのは自信が無い僕だけだ」


「じ、自分に自信が無い気持ちはすごく分かる!
でも私は、佐賀くんのことすっごく魅力的だと思ってる!」


「……魅力的って……」


「皆があんまり気付いてないだけだよ!佐賀くんがすごく綺麗で優しくて大人っぽくて真面目で素敵だってこと!」




はっ、あんまり気付いてないっていうのは気を悪くしちゃうかな!?


……でも素直にならないと、佐賀くんもきっと素直になれない。

お世辞じゃないってことを伝えなきゃ。




「そういうところを知ってたから、桃ちゃんは佐賀くんを推薦したの。佐賀くんの良さを皆に知って欲しいって思ってるの」


「……緒方さんが……?」


「うん!ほんとに佐賀くんはかっこいいんだよ!?優勝も夢じゃないくらい!」


「……そ、そんな」




気付けば、佐賀くんの白い頬は赤く染まっていた。

少し長い髪で顔を隠すように俯いて、佐賀くんは大きく溜息を漏らす。




「……成瀬さんって、そんなに真っ直ぐな人だったんだね」


「え、真っ直ぐ??」


「成瀬さんがそこまで言ってくれて、ちょっとだけ自信が持てたかも……」


「ほ、ほんと!?」




ふっと静かに微笑む佐賀くん。


その笑顔は美しく、思わず見とれてしまった。

透き通った鼻筋と、長くて黒い睫毛。
薄くて色っぽい唇に整った眉毛。


まるで人形のような美しさ。



……ほんとに優勝しちゃうかも。