――「なにそれ。結局カツの思い違いのせいじゃん」


「ばっ、馬鹿野郎!俺だって反省してるんだから、改めて言わなくていいんだよ!」




呆れたように横目でカツくんを見る桃ちゃんと、そんな桃ちゃんの言葉でバツが悪そうに慌てるカツくん。



つまり、私とお兄ちゃんがアクセサリーショップで彼女さんのプレゼントを選んでいるところを偶然見掛けたカツくん達は、

私達の距離があまりに近すぎた為、兄弟というより彼氏の立ち位置に近いような〝幼馴染〟や〝いとこ〟なのではないかと推測したようで。


おまけにそのアクセサリーショップのアクセサリーを付けて登校してきた私を見て、彼らは確信したらしい。



……確かに、私とお兄ちゃんの距離は傍から見れば近すぎるのかも。

気を付けよう。




「成瀬の兄貴何歳なんだ?」



敬吾くんが机に身を乗り出して尋ねてきた。

一方で、桃ちゃんとカツくんはまだ言い合いを続けている。




「えーと、18歳だけど大学1年だよ。水沢大学」


「水大!?頭良いんだなー!」


「ちなみにな、珠姫の兄貴はかなりのシスコンなんだよ」


「まじで!?あんなクールそうな人が!?」





なかなか大きな声でリアクションをしてくれる敬吾くんの声は、きっとクラス中に聞こえてる。


事実だし、恥ずかしいけど話の腰を折りたくもないので黙って見守ることにした。





「だからブレスレット買ってもらったんか!」


「…うん。でも元々の目的はお兄ちゃんの彼女さんへのプレゼント選びなんだけどね」


「へぇー!だってさ羽水!」




満面の笑顔で藍くんの肩を叩く敬吾くん。

突然話を振られて、一瞬きょとんとした藍くんはぽりぽりと指で顔を掻いた。





「…そっか。なんか安心したよ」



「……え……?」


「藍ぃ!緒方が怖いんだけどぉ!」




私が藍くんの発言に追及する前に、先程まで桃ちゃんと言い合っていたカツくんが藍くんの背中に隠れるように戻ってきた。