「これ、良かったら召し上がって下さい」




藍くんはそう言いながら、手に持っていた紙袋をお兄ちゃんに差し出した。


茶色と白色の可愛らしい紙袋。

そのデザインには見覚えがあった。



あ、前にカラオケで藍くんが私にくれたチョコだ!


藍くんもしかして、元々私の家族に挨拶するつもりだったのかな……?




「……ああ、すまない」


「お兄さん、すぐにご報告出来なくてすみませんでした。でも、僕は真剣に珠姫ちゃんとお付き合いさせて頂いてます」


「……」


「……お兄ちゃん?」


「……ふん。珠姫を泣かしたら承知しない」




お兄ちゃんは小さな声でそう漏らす。


……わあ、お兄ちゃん!




「もちろんです」


「ありがとうお兄ちゃん!」


「ふん」




そっぽを向くお兄ちゃんの背中を、私はポンポン叩いた。



やったぁ!

お兄ちゃんが認めてくれた!


藍くんすごいや……このお兄ちゃんをこんなにあっさり納得させちゃうなんて。


きっと、藍くんの誠実さに魅了されたんだろうな。

さすが藍くん。




「じゃあ行ってくるね!」


「珠姫、気を付けるんだぞ」


「うん!ありがとー!」




お兄ちゃんは少し心配性だけど、ほんとはすごく優しいんだ。


家族を誰よりも大切にしている。

私もそんなお兄ちゃんを尊敬してるし、大好きだ。



ほんとにありがとうね、お兄ちゃん。