* * *
――放課後。
たまは藍くんと、沙羅は彼氏と予定があるらしく先に帰っていった。
そんな私はカツから「今日一緒に帰ろーぜ」と連絡があった為、カツと帰ることになっている。
「……」
掃除が終わった私は1人で渡り廊下を目指して歩く。
なぜかカツは教室じゃなくて渡り廊下近くの自販機で待ってるらしい。
謎。
なんで私がわざわざ行かないといけないの。
あの自販機、下駄箱から真逆なんだけど。
自販機が見えてくると、その近くにはちゃんとカツが待っていた。
私はブレザーのポケットに手を入れたまま寒そうに待つカツのもとへ。
「お待たせ」
「おー掃除おつ」
そんなやり取りを交わして、私はちらりと自販機を見た。
なんか温かい飲み物買おうかな。
と、思った時。
「ほらよ」
ポケットから手を出したカツの手には缶コーヒーが握られていて、短い言葉とともにそれを差し出される。
あ、買ってくれてたんだ。
「ありがと。お、しかもちゃんと微糖」
「緒方ってコーヒーは微糖で飲むもんな。俺はカフェオレしか無理」
「たまもそうだった気がする」
「へぇ、可愛いな」
「は、何が。キモ。あんたも飲んでんじゃん」
「俺も可愛い」
「キモすぎ」
カツは「キモキモ言うな!」と笑いながら声を上げた。
いつも通りのしょうもないやり取りをする私達。
だってほんとにキモいじゃん。

