球技大会も終わって、あとはもう冬休みを待つだけ。


そして冬休みの初日には楽しいイベントが待っているというこのワクワク感。

すごく心地良い。




「桃から佐賀もクリパに参加するって聞いたけど、気まずかったりしねーの?」




放課後、沙羅ちゃんと2人で下駄箱へ向かう途中でそう尋ねられた。


先日の出来事は沙羅ちゃんと桃ちゃんには既に話していた。

2人とも驚いてたけど、なんだか納得した様子も伺えて。


もしかしたら2人は佐賀くんの気持ちに気付いてたのかもしれない。




「……佐賀くんが言ってくれたの。「良ければ友達としてこれからも仲良くして欲しい」って」


「へぇ、大人だな佐賀」


「ほんとに……。藍くんもそうして欲しいって言ってくれて、なんか私2人に救われ過ぎてる……」


「まあ珠姫を甘やかしたくなる気持ちはあたしも分かるな。珠姫もそんくらい甘えとけ」


「……いいのかな」


「あたしが許す」




ニカッと悪戯っぽく笑う沙羅ちゃんを見て、私は少し安心できた。


……優しいなぁ沙羅ちゃんは。


でも、せっかく佐賀くんが気を使ってくれたんだから、私もそれに応えるべきだよね。

私の周りの人ってなんでこんなに優しいんだろう。




「あ、たまサラコンビ」




ふと後ろから私達をセットで呼ぶ声がきこえてきた。

この呼び方は確か桃ちゃんがしてたはずだけど……。




「藍くんとカツくん!」


「よっ、今日は2人で帰るんだな」


「珠姫ちゃん達も一緒に帰ろー」




カツくんと藍くんは私達のそばまで来てそう言った。


私と沙羅ちゃんが承諾すると、自然と藍くんは私の隣に移動して。

優しく微笑みかけてくれたからもう私の心は鷲掴みされてしまう。