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放課後、私は一緒に帰る約束をした藍くんを待ちながら校内を散歩していた。


どうやら体育委員会があるみたいで。

藍くんが体育委員だってことをさっき初めて知りました。


……彼女として、大丈夫だろうか。




「……あ」




渡り廊下に出たところで、中庭に座り込むある1人の青年を見つける。

その美しいオーラは正しくも――




「佐賀くん!」


「……あ、成瀬さん……」




スケッチブックに落としていた視線をこちらに向けてくれた佐賀くん。


ただスケッチブックを持って中庭に座っているだけなのに、まるで絵画の一部を切り取ったみたいに綺麗で。

この瞬間を写真に収めたら絶対映えるだろうなと思った。




「部活中?」


「うん……写生してる……」



私は佐賀くんに近寄って、手元のスケッチブックを覗き込んだ。

そこには繊細なタッチで書かれた美しい風景が……。



「う、上手すぎるね……」


「えっ……そ、そんなこと……ないよ……」



照れたように俯いた佐賀くん。

ほんとに謙虚だなぁ。


こんなに実力あるのに……。




「……成瀬さんは、帰らないの?」


「私藍くん待ってるの。委員会が終わるまで散歩してて」


「……そう……」




スケッチブックに再び視線を落として、佐賀くんは黙り込んだ。


佐賀くんの横顔は、長い睫毛や綺麗な鼻筋が目立って見える。

毛穴さえ見つからない白い綺麗な肌は、私からすると心底羨ましい。



……ほんとに女性みたいに綺麗。