「……」



とりあえず教室戻ろう。


そう思い、自販機から離れて渡り廊下を歩き出した。



すると、



「あんた、かわいそうだね」



聞き覚えのあるそんな声が、中庭の方から聞こえてきた。

視線を移すと、そこには中庭で向かい合って話す男女がいて。


よく見ると、その男子はなんと藍くんだった。


ていうか、女子の方は……元カノさん!?




「なんで?」


「だって……告白して逃げられたんでしょ?屈辱じゃん。最低だね、相手」




私のこと話してる……?


それより、なんであの2人が……。




「俺はそんな風には思わないけど」


「優し過ぎでしょ。そんなんだから逃げられるんだよ」


「……それはそうかもしれないね」




私は2人の会話を渡り廊下の陰に隠れて聞く。


盗み聞きなんて良くないけど、

どうしても気になる。


なんで別れた2人がこんな所で話してるんだろう。



「あの子さぁ、なんかいちいちムカつくんだよね。はっきりしないっていうか……何も考えてなさそうだし、全部受け身で自分を守ってるっていうか」




元カノさんの少し怒ったような声が聞こえる。


……そうか。

私ってそんな風に見られてたんだ。


はっきりしないっていうのは……その通りだと思う。


はっ、だから前廊下ですれ違った時に睨まれてたのかな。