「……成瀬さんって、ほんとにすごいね……」
「何が?」
「すごくポジティブで……仏みたいに優しい……」
ほ、仏!?
そんなに優しいかな……!?
優しいのは佐賀くんの方だと思うけど……。
「僕……成瀬さんと話してると……自信が持てるようになるんだ。
こんな僕を受け入れてくれてるんだって感じて……落ち着くっていうか」
ほんのり赤くなった佐賀くんの顔を見上げる。
佐賀くん……そんな風に思ってくれてたんだ。
なんか、少し泣きそうになる。
「だから……最近は学校が少し楽しい。
……僕、あのクラスで本当に良かったよ」
優しく微笑んで私を見下ろす佐賀くん。
本当にその笑顔が綺麗で、思わず見入ってしまった。
「……そっか、それなら良かった。
佐賀くんにそう思ってもらいたくて、ミスターコンも推薦したから……本当に嬉しい」
私達がしてきたことは、間違ってなかったのかな。
佐賀くんが心からそう思ってくれてるなら、私達にとってそれ以上の喜びはないよ。
「……あ、駅着いた」
前を見ると、確かに目的地である駅が見えていた。
この時間帯だと利用者は比較的少ないようだ。

