「……あら!?」





奥の部屋から出てきた女性は、私達を見て立ち止まった。


恐らくこの方が佐賀くんのお母さん。




……すごく美人。


佐賀くんとそっくりだ!





「もしかして、あなたが〝成瀬さん〟かしら!」


「……は、はい」





キラキラとした目を向けたまま、佐賀くんのお母さんはパタパタとこちらに駆け寄ってくる。


私はそこで彼女に頭を下げた。





「初めまして!佐賀くんの友達の成瀬珠姫ですっ」


「まあ、初めまして、優陽の母です。
今日は来てくれてどうもありがとうね」





サラサラな黒い髪が印象的で、ほんとに女優さんみたいな人だ。


なんか、佐賀くんのお母さんって感じがする。



……よく分からないけど。





「さ、上がって上がって!」


「あ、いえ……今日は挨拶に伺っただけですので……」


「何言ってるのよ、わざわざ来てもらったのにお茶も出さずに帰らせるなんてこと出来るわけないでしょう」





そう笑顔で言いながら、佐賀くんのお母さんはくるりと背を向けて廊下を歩き出した。



……こ、これは、





「ごめん成瀬さん……『来い』って言ってる……」


「あ、あはは……」





……ですよね。



私は諦めて靴を脱ぎ始めた。