……藍くんは私が動揺してることに気付いてる様子だけど。
私から視線を外さない行動からして、わざとやっているのかも。
藍くんってこう見えて実はS……?
「あ、藍くんっ……」
「うん?」
「そんなに見られると……照れますっ……!」
「あはは、ごめんごめん。可愛過ぎてさ」
「ま、待って……可愛いって言い過ぎじゃない……!?」
「あ、キモい?」
「全然!?」
照れ過ぎて妙なテンションになる。
「なら良かった」と優しく微笑む藍くんに、私はまた恥ずかしくなる。
……な、なんだろう。
この空気。
むず痒くて、なんだか心地良い。
……か、体が熱い。
「ねぇ、珠姫ちゃん」
「……は、はい」
「……珠姫ちゃんはなんで彼氏作らないの?」
じっと私を見つめる藍くん。
私はそんな真っ直ぐな視線に、少しだけたじろいだ。
……私に彼氏が出来ない理由を知ってるのは、学校で沙羅ちゃんと桃ちゃんだけ。
だってこんなこと……言えない。
仲良くしてくれてるのに……気を悪くさせてしまう。
……でも、
藍くんには、素直でありたい。
なぜかそう思える。
……きっと藍くんは、こんな私を馬鹿にしたりしないから。
ちゃんと聞いてくれるから。
……なんでも話したくなるんだ。