――「あ、珠姫ちゃん」





掃除のゴミ捨てから帰る途中、1組の扉の前で私を呼ぶ声が聞こえてきた。


振り返ると、教室の中から顔を出して藍くんが手を振っているのが見える。




「藍くん!」


「掃除?」


「うん。もう終わるけどね」


「そうなんだ。
あ、そういえば3組おめでとう!優秀クラス」


「ありがとう!ほんとびっくりだよ!」


「文句無しの1位だね」





にこっと爽やかな笑顔から溢れるマイナスイオン。


自然と私も頬が緩む。



やっぱりかっこいいなぁ、藍くん。




そんな風に扉を挟んで藍くんと話していると、教室内にいた男の子達が数人ぞろぞろと藍くんの周りに集まってきた。





「なんだよ羽水〜成瀬さんとこんな目立つところで話してよ〜」

「なんか最近成瀬さんと仲良くね?怪しいな」

「怪しい〜俺らも混ぜろよー」





藍くんに絡む男の子達はにやにやと笑いながら私と藍くんを交互に見る。


藍くんは笑って「そんな風に見えた?」なんて言っていて。



……藍くんの周りには人が集まりやすいんだなぁ。