「私もそう思う。周りに気を遣えるし、優しいし、モテるし、かっこいいし……完璧だね」


「……成瀬さんは羽水くんと付き合ってないの……?」




……え!?

な、何を言い出すのっ?




「付き合ってないよ!」


「……そうなんだ。仲良いから……付き合っててもおかしくないのに」


「な、仲は良いけど……それとこれとは別だよ」


「そっか……」





何か考えるように俯く佐賀くん。



……私は藍くんとそういう関係になりたいから仲良くしてるわけじゃない。


なりたいとも……今は思わない。



藍くんには私なんかよりもっとお似合いの人がいるはずなんだ。

運命の人が。




それに……藍くんを傷付けたくない。



もし私が好きになって、藍くんも私に振り向いてくれた時に


私が彼を拒否してしまったら?



きっとまた、藍くんは自分を責めてしまう。


そんな優しい藍くんを苦しませるようなこと、私は出来ない。



私みたいなめんどくさい感覚を待った人は……藍くんと付き合わない方が絶対いい。



……藍くんの為にも。




「……そ、そろそろ戻る?」


「あ、うん……」




佐賀くんはゆっくり頷いて、皆が待つ部屋へ歩き出した。



歩きながらちらりとスマホを見ると、藍くんからは『うん!ずっとカツがうるさくて皆疲れてきてる』と返事が来ていた。



いいなぁ、楽しそう。


……藍くんやカツくんと同じクラスだったら、もっと楽しいんだろうな。


来年一緒になれるかなぁ。