「どうせ、嫌なところも含めて好き、とか言うんでしょ?」



ええ、その通りですよ。



結局はそこにたどり着くんだもん。



「由依!」



女子の集団の横を通っていたら、大好きな声が、私を呼んだ。



……睨まれたじゃないか。


壱のバカ。



「なに?」



なんて平然を装ってみるけど、上手く出来ているか自信ない。



「この子、俺の新しい彼女」



壱の隣にはこれまた美人さんが立っていた。



「そう。おめでとう」


「お前もそろそろ彼氏くらい作れよなー」



うるさい。


あんた以上の男を見つけらんないんだよ。



「由依?」



私がなにも答えないことを心配したのか、壱は俯く私の顔を覗き込んできた。



あの塊からよく抜けてきたな。



「もしかして怒った?」


「怒ってないよ」


「怒ってんじゃん」


「怒ってないって!」



と、怒鳴ってすぐしまったと思うわけだけど。