「由依は、俺のこと……いや、ごめん。やっぱなし」
「なにそれ」
由依は笑い、俺の肩を叩いた。
だって、言えるわけない。
俺のこと嫌い?なんて。
もし嫌いって言われたら、俺は一生立ち直れない。
「大丈夫そうなら、私もう行くね」
そう言って離れていく由依の手を、掴んだ。
「今日、一緒に帰らないか?」
好きになってもらうチャンスがないなら、作ってやる。
今までの経験をフルに活かして、由依に好きって言わせてみせる。
「私、今日委員会あるけど」
「待ってる」
「結構遅くなるよ」
なんだこれ。
まだはっきり言われるほうがマシに思える。
「それでもいいなら、一緒に帰ろ」
「え、いいのか?」
てっきり、遠回りに断ろうとしてるのかと……
「いいよ」
そう平然と言う姿を見て、本当に俺のことを恋愛対象として見ていないと思い知らされた。



