じゃんけんの結果を見守っていると。
「うわーーーーー、マジ勘弁……」
ガックリと床に膝をついたのは。
「男子は怜央だね」
クラス委員の男の子が、怜央くんの名前をあたしの隣に書いた。
……本当に怜央くんが委員になってしまった。
あたしは驚きを隠せず、手を口にあてて唖然として黒板に並んだその名前を見つめる。
まだ小説に書いたことが本当になった。
これって、偶然で済ませられる?
少し恐くて、背中にゾクっと寒気を感じたのもつかの間。
残念がっている怜央くんを目で追っていると、次第にその表情が変わっていくのが分かった。
黒板をじっと見つめている。
そして、何かを探すようにきょろきょろと動かす目は、彼を追っていたあたしと焦点が合った。
──ドクンッ。
そのままツカツカと歩み寄ってきた怜央くんは。
「女子は心菜なんだ」
「う、うんっ」
「じゃあいっか!よろしくな」
じゃあいっかって?
女子の委員があたしでよかったってこと?
そうだとしたら……ものすごくうれしい。
「うん、よろしくね!」
恐さなんて吹き飛び、あたしは期待に胸を膨らませた。



