あたし、宮内心菜(ココナ)は、高校1年生。
今日は1年生の終了式で、担任の先生が1年間の思い出話などを延々と語っていたのだけど……。
あまりにも長くて退屈だから、スマホで小説を書いていたんだ。
たしかに悪いのはあたしだけど。
堂々と寝ている人もいるのに……なんで、あたしだけ怒られるんだろう……。
「なになに?『どうしよう。あたし、運命の出会いしちゃった───』」
「わわっ!!!せ、先生ごめんなさいっ……!」
こともあろうか、スマホの文章を読み出したものだから、あたしは慌てて立ち上がり、先生の手からスマホを奪い返した。
ここで朗読する!?
しかもよりによってそのシーンを……。
「なにあれー」
「運命の出会いって、ぷっ」
おかげで、クラスのあちこちからは失笑にも近い声。
あたしの妄想をクラスメイトにさらされるなんて、生きた心地がしない。
恥ずかしくて、今度は全身から火が噴き出たかのように熱くなってくる。
穴があったら入りたい……。



